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本当はカテゴリと関係ない話。略して本カテ。

 ありのまま起こった出来事を話すと、つまりこういう事だ。

   *

 猛暑日。だったかどうかは覚えてないが、とにかく暑い日に回転寿司に行ったんだ。というのも、あまりの暑さにゴロゴロしていたらいつの間にか昼過ぎで、丁度彼女から、回転寿司の割引券を手に入れたから行かないかと誘われたからだ。

 でもってそのまま、鬼のような紫外線の中をとぼとぼ歩いて寿司屋に向かったわけだ。

 時間的にも混んでいなかったので、すんなりテーブル席に着けた。

 までは普通だった。

 まず適当な味噌汁を二人分頼んでから、俺の好物のイカを頼み、彼女は玉子を頼んだ。
それからタコとネギトロと生エビ……彼女のほうは何故かハンバーグ乗せとかステーキ乗せとか、謎の寿司を頼んでいた。寿司屋に来てまで何故洋食ものを……。というか何故乗せた?

 そういうのに驚きつつ、マグロに醤油をかけて口に運『ガリッ』んだらこんな感じの歯ごたえが、っていうか明らかに硬い物体があったので取り出してみた。

 …………石だった。←今ここ

   *

 何故!? 何故寿司に石!? 何があった!? なんでこうなった!?

 いや待て。落ち着け俺。よーく見てみよう。本当にコレは石か? 臨界点を突破したご飯のおこげか何かかもしれないぞ。

 ……この身に覚えのある指ざわりといい、この黒々とした色といい……──間違いない。

 駐車場のコンクリとかにある砂利的なアレだ。

 ってやっぱり石じゃん! よく見るも何もやっぱり石じゃん。むしろ特定されてる!

 幸い、彼女はエビフライの尻尾の味を噛み締めていて、俺が食べたマグロから石が出てきたという衝撃的事実に気付いてない。

 俺はそっと石を皿の陰に置いた。

 見れば見るほど、コンクリのあのゴツゴツ部分の一部としか思えない。でも普通に考えて、コンクリの欠片が寿司に入るわけがない。てか、握ってて気付くだろ。

 いや待て。大体寿司の中に石が混入すること自体普通じゃない。普通に考えたら駄目だ。有り得ない風に考えてみよう。

 例えば、だ。港を走っていた車で石が跳ねて海に落ちて、それを餌と勘違いしたマグロがパクッと食べて、消化する間も死んで沈む間もなくお縄にかかって、奇跡的に石が埋まってる部分が綺麗に捌かれてネタにされてここに運ばれた。……とか。

 じゃなかったらアレだ。米を運ぶ業者の車が荷物の出し入れをする際に、近くを通った車または自転車によって跳ねた石が、業者がちょっと目を離した隙に入って、そのままここまで運ばれて炊かれて、奇跡的に職人の取ったシャリの中に石が綺麗に掬われて、たまたまマグロを乗せて、たまたま俺がそれを引いた。……とか。

 ……引いた? いや待て。寿司の中に石が入っていたという現実にすっかりショックを受けていたが、逆に考えたらコレって当たりなんじゃね? 寿司に石って世界中探してもないだろ絶対! それどころか歴史上初かもしれない。いやこんなことないだろ絶対! ギネスものじゃないのかコレは! ブログとかに乗せたら恰好のネタじゃん。閲覧数急上昇でネットニュースに挙げられたりしてさ。芸能人の暴露本とかに載ってたら死んだ後も話題として生き残るレベルじゃないか!?

 ……だから落ち着けって俺。俺芸能人じゃないし。コンビニのバイトだし。死んだ後も寿司に石が入ってたことをネタにされるって正直どうよ? コレが当たりって、ハズレの立場はどうなる? そもそもブログやってないだろ。寿司に石なんて記録してどうする? ただの異物混入じゃん。なんか響きが卑猥じゃん。

 それに寿司に石なんてフード店としてあるまじき事態だろ? 石が寿司に混入した流れはどう考えたって予測不可能なんだから、とりあえず店側を訴えるべきじゃね? 賠償金とか要求してもよくね?

 あ、味噌汁の貝彼女に取られた。

 ん? 待てよ? 仮に今ここで俺が店を訴えたとしよう。彼女はどう反応する?

①はっきり物を言えてカッコいいと思う。
②石ぐらいで怒って器が狭いとがっかりする。
③石にあたった俺を心配して構う。
④石にあたった俺を面白おかしく周りに言いふらす。
⑤その他。

 まず④はないだろう。いやいや、あくまで彼女の性格や人格を考察したまでであって、断じて俺個人の願望なんかじゃないっ。

 ①……も、ないだろうなぁ。寿司に石で起訴してカッコいいって思うわけねーし。てか、前読んだラノベに出てきた不良カップルみたいでなんか嫌だし。クレームつけてカッコいいみたいなの。ああはなりたくない。てか思われたくない。

 ②は②で否定できない。大声で騒がないーとか、大人気ないーとか。器が狭いかはともかく、軽いお説教はされそうな気がする。これは彼氏の面目丸つぶれだろう。

 予想(not希望)としては③だろう、多分、いや絶対。彼氏が食べた寿司の中に石が入ってるなんて前代未聞の展開、彼女が驚かないわけがない。そして体調に異常がないか聞いてくれるに違いない。間違いない。

 おっといかん。ついにやけてしまった。熱いお茶でも飲んで誤魔化そう。

 ……はっ。そうか、なるほど。分かったぞ。これは陰謀だ! しがないバイト生活の俺に彼女がいるもんだから、どっかのダサ男がリア充爆破しろとか言って、俺の寿司に石を盛ったに違いない! 偶然俺の席の前に、彼女いない暦=年齢な奴がいて、嫌がらせでたまたま持っていた石を、流れてきた寿司に忍び込ませたんだ!

 俺の前の席。流れ的に彼女の後ろの席だ。どれどれ、どんな顔のや『ママー甘エビ食べたーい』『あ、じゃあ僕もー』『はいはい。すいません、甘エビふたつー』お疲れ様ですお母様。

 家族連れじゃん……。子供二人もいるじゃん。雰囲気的に一姫二太郎? じゃなくて『ねーパパは?』『パパはお仕事よ』休日出勤か? いいお父『知らないの? パパおこづかいないから、家でおせんたくとかおそうじとかしてるんだよー』『し、知ってるもんっ』頑張れお父さん! めげるなお父さん!

 ……はっ。そうか。そういうことだ! つまりこの石は、家族に内緒で寿司を食べに行かれたとも知らず家事を押し付けられた父親の怨念が具現化したものだ! その怨念の矛先があの家族に向かなかったのは……えっと、あ、そうだ。母親には尻に敷かれてるから怖くてできなくて、子供二人には申し訳なくてできなくて、たまたま隣に座ってて、しかも彼女と普通に仲良く寿司食いに来てる俺をターゲットにしたんだ! なるほど、そういうことか……。やれやれ、俺も罪作りな男になっちまっ『あ、パパー』『仕事早く終わったから来ちゃったよ』『おせんたくとかおそうじとか終わったのー?』『え?』『嘘に決まってんじゃん』『うわーん! お姉ちゃんが騙したー!』…………。えっと、まぁ、なんだ。仲がよろしい事で。

 なんという事だ……大黒柱の怨念説じゃなかったなんて。となると他に考えられるのは……まさかマジックストーン!? 魔法の石と書いてマジックストーン!? いや、下手したら飛行石とかかもしれない! なんかあるじゃん? 何の意図もなく手に入れたやつが、実はお宝とかどっかの秘宝とか四大なんとかのひとつ的な。つまり、この後「どうしてこうなった」的な展開が、おそらく店を出たあたりから『ごちそうさまー』おっと、お愛想か? じゃあそろそろ会計──

 ひいふうみいよーいつむーなーここのえとお。ひいふうみいよーいつむーなー(以下割愛)

 ……随分食ったなおい。

   *

 結局あの石がどういった経緯で俺の(口)元に来たのかはさておき、あれから一週間経った今でも俺は平凡なバイト生活をしている。なので俺は決心した。「見なかったことにしよう」と。
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